建設業者は、500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事を請負う場合は、その工事の種類ごとに建設業許可を取得しなければなりません。
ちなみに、知事許可から大臣許可に変更する場合(許可換え新規)や、一般許可から特定許可に変更する場合(般・特新規)も新規申請扱いとなります。
建設業許可を取得するためには、建設業の経験が一定期間あることなどが条件となります。建設業許可を取得しているということは、建設業の経験について一定のレベルがあるということになり、建設業許可を取得することで信用力が増すことになります。
そのため、建設業許可を取得している業者さんとそうでない業者さんがあった場合には、建設業許可を取得している業者さんに仕事をお願いしたくなります。仕事を依頼する側も許可を取得している業者さんに仕事をお願いする方が安心できるというものです。
また、建設業許可を取得していないと、請負金額が500万円以上の工事を請負うことができません。それに、現在では大きな会社(元請)は、下請の建設会社が建設業許可を取得していないと仕事を発注したくないなど、建設業許可があるかないかで仕事ができるかできないかが決まってきているのです。しかも、年々建設業許可を取得するための条件は厳しくなっています。
そのため建設業許可が必要ない500万円未満の工事しかやらないといって建設業許可を取得しないというのではせっかくのチャンスをみすみす見逃してしまうことになるのです。
建設業許可を取得するメリット
メリット@
500万円以上の工事を受注できるようになる。
メリットA
対外的な信用が上がり、業務の拡大につながってきます。
現在はコンプライアンス(法令順守)を厳しくチェックする世の中になっており、元請企業も、下請け会社、個人が建設業の許可を取得している方が安心して業務を発注することができます。
メリットB
建設業許可を取得するためには、一定の要件(条件)を満たさないといけません。そのため建設業許可を持っているということは、信用のある会社であると評価されます。この点は、取引先はもちろん、金融機関への融資申請時などにも非常に有利に働きます。金融機関との取引を円滑にするためにも、建設業許可を取得しておくべきです。
メリットC
経営審査事項審査を受けて公共工事入札に参加できる道ができます。
建設業許可の29業種
建設業と一言で言っても実は、29種類もの内容に分けられています。
建設業の許可を取ったからといって、29種類の建設業の全てができるわけではなく、下記表のそれぞれに対応した許可を取らなければ営業できません。
建設工事 | 建設業 | 内容・例示 | |
1 | 土木一式工事 | 土木工事業 | 総合的な企画、指導、謂整のもとに土木工作物を建設する工事橋梁工事やダムエ事などを一式として請け負うもの。そのうちの一部のみの請負は、それぞれの該当する工事になる。 |
2 | 建築一式工事 | 建築工事業 | 総合的な企画、指導、謂整のもとに建築物を建設する工事一棟の住宅建設等一式工事として請け負うもの。建築確認を必要とする増改築等 |
3 | 大工工事 | 大工工事業 | 木材の加工又は取付により工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付る工事大工工事、型枠工事、造作工事 |
4 | 左官工事 | 左官工事業 | 工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははりつける工事。左官工事、モルタルエ事、モルタル防水工事、吹付け工事、とき出し工事、洗い出し工事 |
5 | とび・土工・コンクリート工事 | とび・土工工事業 | イ.足場の組み立て、機械器具、建設資材等の重量物の運搬位置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事 ロ.くい打ち、くい抜き及び場所打ちぐいを行う工事 ハ.土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事 二.コンクリートにより工作物を築造する工事 ホ.その他基礎的ないしは準備的工事 1.とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重星物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立工事、コンクリートブロック据付工事、工作物解体工事 2.くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ちぐい工事 3.土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事 4.コンクリートエ事、コンクリート打設工事、コンクリート圧接工事、プレストレストコンクリートエ事 5.地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウトエ事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、道路付属物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事 |
6 | 石工事 | 石工事業 | 石材の加工又は積力により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事。石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事 |
7 | 屋根工事 | 屋根工事業 | 瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事。屋根ふき工事 |
8 | 電気工事 | 電気工事業 | 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事。発電設備工事、送配電設備工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事 |
9 | 管工事 | 管工事業 | 冷暖房、空気調和、給排水、衛星等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事。冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクトエ事、管内更生工事 |
10 | タイル・れんが・ブロック工事 | タイル・れんが・ブロック工事業 | れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取り付け、又ははりつける工事。コンクリートブロック積み(はり)工事、れんが積み(はり)工事、タイル張り工事、築炉工事、石綿スレートはり工事 |
11 | 鋼構造物工事 | 鋼構造物工事業 | 形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事。鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事、門扉設置工事 |
12 | 鉄筋工事 | 鉄筋工事業 | 棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組み立てる工事鉄筋加工組立工事、ガス圧接工事 |
13 | ほ装工事 | ほ装工事業 | 道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事。アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事 |
14 | しゅんせつ工事 | しゅんせつ工事業 | 河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事。しゅんせつ工事 |
15 | 板金工事 | 板金工事業 | 金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事。板金加工取付け工事、建築板金工事 |
16 | ガラス工事 | ガラス工事業 | 工作物にガラスを加工して工作物に取付ける工事。ガラス加工取付け工事 |
17 | 塗装工事 | 塗装工事業 | 塗料、塗材等を工作物に吹付け、又ははり付ける工事。塗装工事、溶射工事、ライニングエ事、布張り仕上げ工事、鋼構造物塗装工事、路面表示工事 |
18 | 防水工事 | 防水工事業 | アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事。アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリングエ事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事 |
19 | 内装仕上工事 | 内装仕上工事業 | 木材、石膏ボード、吸音版、壁紙、畳、ビニール床タイル、力一ペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事。インテリアエ事、天丼仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、畳工事、ふすま工事、家具工事、防音工事 |
20 | 機械器具設置工事 | 機械器具設置工事業 | 機械器具の組立等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事。プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、集塵機器設置工事、トンネル・地下道等の給排気機器設置工事、ダム用仮設備工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車場設備工事 |
21 | 熱絶縁工事 | 熱絶縁工事業 | 工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事。冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備又は燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事 |
22 | 電気通信工事 | 電気通信工事業 | 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事。電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事 |
23 | 造園工事 | 造園工事業 | 整地、樹木の植栽、宗石の据付等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の厘上等を緑化し、又は植生を復元する工事。植栽工事、地核工事、宗石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、回路工事、水宗工事、厘上等緑化工事 |
24 | さく丼工事 | さく丼工事業 | さく丼機械等を用いてさく孔、さく丼を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事。さく井工事、観測井工事、還元井工事、温泉掘削工事、井戸築造工事、さく孔工事、石油掘削工事、天然ガス掘削工事、揚水設備工事 |
25 | 建具工事 | 建具工事業 | 工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事。金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、金属製カーテンウォール取付け工事、シャッター取付け工事、自動ドアー取付け工事、木製建具取付け工事、ふすま工事 |
26 | 水道施設工事 | 水道施設工事業 | 上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事。取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事 |
27 | 消防施設工事 | 消防施設工事業 | 火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事。屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設備工事、非常警報設備工事、金属製非難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事 |
28 | 清掃施設工事 | 清掃施設工事業 | し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事。ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事 |
29 | 解体工事 | 解体工事業 | 工作物の解体を行う工事 |
※詳しくは専任技術者の国家資格等の一覧へ
建設業許可申請までの流れ
@許可要件に該当 ※詳しくは建設業許可取得の要件へ
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A書類の整備(捺印など)
書類の作成、捺印、資料の収集など
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B書類を窓口に提出
許可申請するには、提出期間内に必要書類を提出しなければなりません
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C登録免許税や手数料の納付
登録免許税や手数料は、その許可の種類によって5万円〜15万円となります。
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D受付
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E審査
審査に際して、立入検査を行うことがあります。
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F許可
提出した書類に問題がなければ、知事許可で1〜2か月くらい、大臣許可で3か月くらい(各都道府県、許可申請例によって違います)で許可がおります。
経営事項審査
●経営事項審査とは
公共工事の各発注機関は、入札に参加しようとする建設業者について資格審査を行いますが、その際に経営事項審査の結果(P点)を利用しますので、入札参加を希望する建設業者は必ず経営事項審査を受ける必要があります。
(※経営事項審査を申請するには、前提として経営状況分析の受審及び決算変更届の提出が必要となります。)
●経営事項審査の仕組み
経営事項審査は、以下の各事項についてそれぞれ数値による評価を行い、その合計点(P点)を算出します。
総合評定値(P点)
=経営規模(X点)+経営状況(Y点)+技術力(Z点)+その他(W点)
経営規模(X点)・技術力(Z点)・その他(W点)の審査は、各都道府県(大臣許可については国土交通省)が行いますが、経営状況(Y点)の審査(この審査を「経営状況分析」といいます)だけは、登録を受けた民間機関が行います。手順としては、先に経営状況分析を申請し、その分析結果(Y点)を受け取ってから各都道府県の経営事項審査を受けて、総合点(P点)を出してもらうことになります。
●経営事項審査の有効期間
経営事項審査の有効期間は、その経営事項審査の審査基準日から1年7ヵ月です。しかし、公共工事を受注する場合には、請負契約締結日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了の日を審査基準日とする経営事項審査を受け、その結果通知書の交付を受けていることが必要です。
従って、毎年公共工事を直接請け負おうとする場合は、有効期間が切れ目なく継続するよう、毎年決算後速やかに経営事項審査を受ける必要があります。
入札参加資格審査
●入札参加資格審査とは
国・都道府県・市区町村等の各自治体が発注する建設工事の入札に参加する者は、入札参加資格審査を申請し、入札参加資格者名簿に登載される必要があります。
●電子入札とは
従来、入札参加資格審査申請、入札情報の入手、入札、開札の一連の手続きは、各官公庁への訪問及び書類を用いて行われていました。しかし、電子入札では一連の手続は全てパソコンからインターネットを介して行います。都道府県・市区町村の多くが、電子入札の本格導入を計画又は実施しています。
●公共工事の入札参加資格審査を申請するために必要なこと
- 入札したい業種の建設業許可を取得している
- 経営事項審査をうけて、P点が出ている
- 電子証明書を取得している
- 法人税等の納税を済ませている (税金に未納分があると資格取得できません)
建設業許可申請、経営事項審査、入札参加資格審査のことなら不動産業界出身であり宅地建物取引主任者の資格も保有する向井総合法務事務所へお気軽にご連絡下さい。