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公正証書遺言

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことをいいます。

遺言者は、公証人の前で、遺言の内容を口頭で伝え、公証人がその内容を文書にまとめ、公正証書として作成します。

公正証書は、公証人が作成する公文書であり、公証人は裁判官や検察官などを務めた法律の専門家が任命されています。そのため、公証人が遺言者の意思を確認しながら作成する公正証書遺言は、社会的に信用性が高いものとされています。

[公正証書遺言のメリット]

  • 法律の専門家である公証人が作成するので方式や内容の不備による無効を防止できる
  • 遺言書が公証人役場に保管されるので偽造・改ざんのおそれがない
  • 遺言者の死亡後でも遺言書の検索・照会ができる
  • 家庭裁判所の検認手続きが不要
  • 自書能力がなくても作成可能

[公正証書遺言のデメリット]

  • 遺言書作成に費用がかかる
  • 公証人の関与が必要であり証人2名の立会いを要する
  • 遺言書の存在と内容を秘密にできない(公証人と証人には知られてしまう)

公正証書遺言を作成する場所は原則として公証役場ですが、遺言者が高齢であったり入院中のため外出が困難であったり等の理由で公証役場まで行けないときには公証人が出張してくれます。


公証役場で作成する場合の公証人の手数料

公正証書遺言を作成する際の公証人の作成手数料は、相続あるいは遺贈する資産の額で決まります。つまり、相続人あるいは受遺者ごとに計算するのです。

公証人手数料令によると以下の表のようになります。

   
(単位:円)
目的価格手数料
     〜  100万    5,000    
     〜  200万    7,000    
     〜  500万    11,000    
     〜  1,000万 17,000
     〜  3,000万 23,000
     〜  5,000万 29,000
     〜   1億   43,000

※1億円超は、5,000万円きざみで徐々に高くなります。
※1億円以下の場合、遺言加算11,000円があります。
※行政書士の作成報酬は別途必要です。

例えば、長男1人に8,000万円の財産を全部相続させると、1億円までの手数料43,000円と総資産1億円に至るまでに加算される遺言加算金11,000円、これに用紙の枚数によってかかる用紙手数料が通常は数千円かかりますので、合計で55,000円前後ということになります。

ところが、同じ8,000万円でもこれを長男に4,000万円、次男に4,000万円それぞれ相続させる場合は、長男分5,000万円までの手数料29,000円と次男分5,000万円までの手数料29,000円と遺言加算金11,000円と通常かかる用紙手数料数千円で、合計が70,000円前後となります。

※公証人に出張してもらった場合には日当が必要となるなど、事案によって手数料が加算される場合があります。

公正証書遺言の作成方法

公証人に公正証書遺言を作成してもらう場合、遺言者が公証役場に行くことが出来るのであれば、どこの公証役場に行っても公正証書遺言を作成してもらうことができます。

しかし、遺言者が高齢や病気などの理由で公証役場に出向くことができない場合には、公証人に出張してもらうことも可能です。公証人の出張できる地域は公証人が所属する法務局の管轄内に限定されており、都道府県を越えて出張することはできないとされています。

公証人は、行政書士が遺言者と打合せのうえ作成した遺言書案を確認したうえで、公正証書遺言の原案を作成してくれます。この原案を遺言者と行政書士が確認したうえで、公証人が最終的な公正証書遺言を作成します。

その後、証人の立会いのもと公証人が公正証書遺言の内容を遺言者に読み聞かせ、遺言者がその内容でよければ署名と押印を行います。また、証人も作成の場に立ち会ったことの確認のため署名と押印を行います。

なお、公正証書遺言の場合は2人以上の証人が必要ですが、未成年者・推定相続人及び受遺者ならびにこれらの配偶者及び直系血族・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は証人になることはできません。

公正証書遺言は、原本、正本(原本と同一の効力を有する文書)、謄本(原本に相違ないことを認証した文書)の3通作成されます。原本は公証役場で保管され、正本、謄本は遺言者に渡されます。遺言執行者を指定した場合は、遺言執行者である方が正本を保管し、謄本を遺言者が持っているが一般的です。

遺言者の死亡後、遺言執行者または相続人は保管してあった公正証書遺言の正本または謄本に基づいて遺言執行の手続きを行うことになります。

公正証書遺言の検索

被相続人が死亡した場合、その被相続人が公正証書遺言を作成していたかどうかは、平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、全国の公証役場にて検索・照会することができます。

 

公正証書遺言の検索の手順

  • @照会を希望する者が被相続人が死亡したことを証明する資料(除籍謄本等)と、照会者が相続人であることを証明する資料(戸籍謄本等)・身分証明書を準備して、公証役場に持参する。
  • A公証人に遺言の検索・照会を依頼する。
  • B公証人が日本公証人連合会事務局に遺言の有無を照会し、その結果が照会者に伝えられる。
  • C照会者は、公正証書遺言が保存されている公証役場で、遺言書の謄本を交付してもらえる。

自筆証書遺言のメリットを生かした公正証書遺言の活用法

遺言書作成の専門家に相談すると、公正証書遺言を薦めるケースが多いようです。遺言は厳格な法律的要件を満たさなければ無効になってしまう要式行為なので、専門家としては有効な遺言書を作成するためのアドバイスとして、より安全な公正証書遺言を薦めるのは当然でしょう。

しかし、公正証書遺言では遺言書が完成するまでに比較的時間がかかってしまいます。そこで、自筆証書遺言のメリットを生かした公正証書遺言の活用をお薦めいたします。

遺言者が遺言書を作成する場合、その際の状況は遺言者によって様々ですが、緊急性を要する場合や緊急性がなくともとりあえず遺言書を作成しておきたい場合、まず自筆証書遺言で遺言書を作成しておき、後日、同じ財産について公正証書遺言を作成するようにします。

こうすることにより遺言がない場合のリスクを自筆証書遺言の作成で防止することができますし、法律的にもしっかりした公正証書遺言を最終的には残すことができるのです。

また、遺言書の作成に際し、遺言事項とは別に遺言者の想いや遺言内容の理由などを法的効力のない「付言事項」として記載することで、できるだけ遺言の執行を容易に進められるように工夫することもあります。

このようなことをすることで、「遺言者の想いを伝える」という遺言の気持ちの部分を少し取り入れることも可能になるのです。

遺言書を作成する際には、相続人関係や財産構成はもちろんですが、遺留分、不動産、特別受益、非嫡出子の認知、銀行預金等、様々なことに注意しながら、かつ法律の要件を満たす有効な遺言書を作成しなければなりません。

まずは遺言書を得意とする向井総合法務事務所へお気軽にご連絡ください。